とても不思議なことが起きた。

時刻はおよそ夜の10時頃。いつものようにLRT駅からGrabタクシーを呼んで帰ろうとしていたときのこと。

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焦りの解放

駅の周りはいつも以上に車が走っていて少し渋滞していた。
少しの不安を心に抱きつつ、スマホを操作してGrabタクシーの予約をする。

しかし、不安が的中し、何度呼んでもなかなかタクシーが捕まらない。

 

駅から自分の家まではとても歩いて帰ろうとは思えない距離。

胸の中でだんだんと大きくなる焦りの中、何度もタクシーを呼ぶ。そんな単調な作業が15分ほど続いたときだろうか。ようやくスマホの画面が自分の望んでいた画面へと切り替わった。

「あー、よかった。これでやっと帰れる。」

その時の心境は、さながら、心配していたテストの結果がギリギリセーフだった時のようだった。笑

 

偶然の再開

そうした心の動きがあった中、10分ほどしてタクシーが到着した。

マレーシアで見るタクシーは日本と異なり、全体的に真っ赤なデザインのタクシーだ。
ホッとしながら、タクシーに乗り込み、スマホを手にSNSをチェックする。

そうしているとき、ふと、タクシーの運転手が目的地の詳細を聞いてきた。

 

「この辺までお願いします。」そう言って伝えていると、なんだか運転手に既視感を覚えた。

そして、その時になったハッと気が付いた。

実はその運転手には2日前に同じようにして会っていたのだ。そして同時に、とても大切なことを思い出した。

 

考えのシフト

実は2日前、この運転手に、Grabに登録している電話番号が間違っていると教えてもらったのだった。

教えてもらったというと聞こえはいいけど、実際に教えてもらったときは、「電話番号が間違っているから、電話できなかったじゃないか」と少し当り散らすような言い方だった。

だから、それを聞いたときは少しムッとしてしまった。なんでタクシーの運転手にそんな風な言われ方をされないといけないんだと思った。

 

それも何度も言われたから、なおさらだ。だからこれに対する僕の対応は「電話番号なんか変えるもんか」という反応だった。我ながら子供だな、と思う。笑

 

しかし、その後、自分の部屋に帰って来た時、やっぱり変えようと思ったのだ。

確かに当たるような言い方にはカチンときたけど、その運転手の言っていることは正論で、Grabタクシーに登録している電話番号が間違っていたら運転手から電話をかけたいときにかけることが出来ない。

それが今後も続くとなると、さすがにこれからの運転手に申し訳ない。

 

そう思ったため、すぐに電話番号を正しいものに変更した。

それは、たったの1分で終わる作業だった。こんな一瞬で終わることに対して自分でブレーキをかけていたのだと思うと、我ながら恥ずかしい。

あのタクシーの運転手には感謝しないとな。そう思っていた。

 

感情の伝達

そんな出来事があった2日後、なんともう一度同じタクシーの運転手に会うことが出来たのだ。

本当に不思議でならなかった。どうして数あるタクシーの中でもちょうど2日前に合ったタクシーを利用しているのだろう。でもその時思った。

 

タクシー運転手に感謝の気持ちを伝えようと。こんなことは、かなりの確率で起こらないことだ。だったら今、言うしかない。

 

そして、伝えた。

 

「Thank you very much!」

 

たったそれだけの言葉だったけど、とてもむずがゆくて、こしょばゆくて、でもすごくホッコリした。それを聞いた運転手もニッコリと笑顔になった。

 

それだけでとても幸せだった。やっぱり、感情に流されず冷静に考えて素直に行動すること。これってすごく大事なことだな、と実感した。

これからもこの心は忘れないようにしよう。

 

そう心に誓い、淡い明かりに照らされた暗闇の中、僕はタクシーにさよならをした。